最近では、企業の障がい者の採用枠が拡大し、働きたい障がい者の職場進出を後押しするサービスも盛んになっています。
その中でも、「就労移行支援事業所」は福祉法人以外も事業を行うことができるため、新しい事業所がたくさん増えてきました。


障がい者が一般就労に向けてトレーニングを行うのが就労移行支援の主な目的です。
しかし、就労移行支援はすべての障がいがある方に意味があるものではなく、状況によっては意味がない場合もあります。
目次
就労移行支援を利用しない方がよい人・しなくても良い人
就労移行支援を利用しないほうが良い人、しなくてもよい人はこんな方です。
- 豊富な就労経験があり、ビジネスマナーのスキルなどが身についている人
- 利用料や交通費など費用の負担が難しい人
- 今すぐ収入が欲しい人
就労移行支援は就労経験豊富な人には意味がない?
就労移行支援を利用するなら、就労移行支援事業所に長期的・継続的に通うことが必要です。

就労移行支援は、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスなので、就労移行支援事業所は専門的な職業トレーニングを行うだけでなく、利用者の生活面にも気を配ることが求められます。
具体的には、生活リズムを整えたり、基礎的なビジネスマナーを学んだりする段階から始まり、職業訓練でその人の力を伸ばす段階を経て、最終的に就職して自立するまでを最長2年の間支援します。

しかし、障がい者を持つ方の中には、以前に豊富な就労経験があり、基礎的なビジネスマナーは十分という方もいらっしゃいます。そうした方は、就労移行支援を利用しても意味がないかもしません。
就労経験が豊富な方は、障害者職業センターなどが提供する専門的な職業トレーニングの中から、自分に必要なものを選んだ方が効率的ですし、また、トレーニングに必要性を感じなければ、ハローワークや転職エージェントなどを利用したほうが就職に近道の場合もあります。

費用がかさむ人には就労移行支援はコスパ的に意味がない?
就労移行支援を利用するには「利用料」「交通費」「昼食代」など、必要な費用があります。
就労移行支援事業所は、主に補助金で運営されていますが、利用者も利用料としてその一部を負担することになっています。
「低所得の方に配慮した軽減策」も講じられており、「障害のある方とその配偶者」の前年の収入を見て、市区町村の福祉サービス担当者が軽減策を適用すれば、利用料が無料になることがほとんどです。

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利用をする就労移行支援事業所の場所によっては交通費も負担が大きくなってしまいます。
福祉サービスにおいて、利用料は軽減されても、交通費や食費は軽減の対象ではないので自己負担することになっています。

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助成の有無やその内容は事業所や自治体で様々です。
「月に10000円まで交通費を助成する」「通常は1食400円の宅配給食を1食100円で提供する」というようなケースがあります。
<交通費・ランチ助成がある事業所>
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就労移行支援を利用している間はアルバイトやパートを含め、就労が認められていないので本人は収入がない状態です。
就労移行支援を利用するための費用が負担となる場合、途中で退所をしなければいけなくなるケースもあります。
就労移行支援は今すぐ収入が欲しい人には意味がない?
就労移行支援サービスの利用中は、アルバイトやパートを含めて仕事をすることは認められていません。
そのため、就労移行支援を利用をしている間は収入がないことになります。

そういう方は、「就労継続支援」を利用したほうが良い場合もあります。
就労継続支援は、「A型」と「B型」がありますが、A型は一般就労と基本的に変わりません。
一般就労と比べて時間が少し短い場合が多く、障がいを理解したスタッフにより運営されているので一般就労よりも働きやすさはあるでしょう。
給料は最低賃金が保証されています。
ただし、最低賃金が保証されているA型であっても、一般企業よりは低く作業内容も一般企業への就職に直接結び付くとは限りません。 平成24年に『障害者総合支援法』が制定され、国の支援により障がいを持つ方は就業に向けてサポートが受けられるようになりました。 「就労移行支援」とは『障害者総合支援法』に基づいたサービスの1つで、就労を ... 続きを見る
就労移行支援とは?就労継続支援とのちがいも解説します!
就労移行支援を利用して意味がある人
就労移行支援を利用して意味がある人はこんな方です。
- 安定して職場に行く自信がない人
- 就労に向けたスキルを学びたい人
- 就職活動や就職後のサポートを受けたい人
安定して職場に行く自信がない人
欠勤や遅刻をせずに安定して仕事ができる。ということは就職のためにとても大きなポイントです。
安定して通勤ができない、仕事ができないまま就職をしてしまうと、「就職をしては辞める」を繰り返してしまうケースが多くなります。
就労移行支援では安定して職場に行くためのリズム作り、自分の障がいをコントロールする方法、職場の人に自分の障がいを理解してもらうための方法なども学びます。
障がいに向き合いながら、コントロールをする方法を学ぶので、安定した就労につながります。
就労に向けたスキルを学びたい人
基本的なビジネススキル、パソコンのスキルなどを学ぶことができます。
事業所ごとに習得できるスキルが異なるので、事業所の見学や体験を行いましょう。
就職活動や就職後のサポートが受けられる
就労移行支援を利用している場合、就職活動もその事業所のスタッフの支援を受けることができます。
履歴書などの書き方だけでなく、合同面接会や面接の同行もしてもらえます。
また、就職後は就労定着支援を受けることができます。
多くの就労移行支援事業所が就労定着支援も行っている場合が多いため、就労移行支援事業所でサポートを受けた人に引き続きサポートを受けられることはとても心強いですね。
就労移行支援は意味がない?まとめ
就労移行支援を利用しても意味がない人を紹介してみました。
就労移行支援は、
- 生活リズムを整える
- ビジネスマナーの基礎を身に着ける
- 就労に必要なスキルを身に着ける
ことを目的にしています。
障がいは持っているけれど、すぐに働ける状態にある場合は行っても意味がない可能性もあります。
また、経済的に利用料や交通費の負担が難しい場合に無理をして通っても続かない可能性も出てきます。


でも、就労移行支援は自分自身にとって意味があるのかないのかは正直わからないところがありますね。

就労移行支援を利用するか迷っているなら、まず気になる就労移行支援事業所に問い合わせをして見学に行ってみましょう。
そして、ご自分の状況や希望などを相談することで、就労移行支援を利用すべきなのか?それとも就労継続支援なのか?または、就職活動を再開すべきなのか?などが見えてくるはずです。
また、すでに就労移行支援を利用をして悩んでいるなら、他の事業所に移ることも考えて相談をしてみましょう。